印刷物とウェブ、デザインの考え方はどう違うか

印刷物とウェブサイトのデザインを、同じ感覚で依頼される方がいます。どちらも「見た目を整える仕事」という点では同じですが、制作の考え方はかなり異なります。両方を扱う立場から、具体的な違いを書いてみます。
色の扱い方が根本的に違う
印刷物はCMYK(シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック)の4色インクで色を表現します。ウェブはRGB(赤・緑・青)の光で色を表現します。同じ「赤」でも、画面で見た色と印刷した色は必ずしも一致しません。
印刷物のデザインでは、色校正という工程が重要です。実際に印刷したサンプルを確認してから本番印刷に進みます。この工程を省くと、「画面では鮮やかだったのに、印刷したら暗くなった」という結果になりやすいです。
サイズと解像度の考え方
印刷物は物理的なサイズが決まっています。A4のチラシはA4です。解像度は通常350dpi以上が必要で、ウェブ用の72dpiの画像をそのまま使うと、印刷したときにぼやけます。
ウェブはサイズが固定されていません。同じサイトが、スマートフォンでもタブレットでもパソコンでも、それぞれの画面に合わせて表示される必要があります。これをレスポンシブデザインと呼びます。印刷物のように「このサイズに収める」という発想ではなく、「どの画面でも読みやすくする」という発想が必要です。
更新できるかどうか
印刷物は一度印刷したら変更できません。電話番号が変わっても、印刷済みのチラシはそのままです。だからこそ、入稿前の確認が重要です。
ウェブサイトは後から更新できます。ただし、更新のしやすさはサイトの作り方によって大きく変わります。WordPressで作ったサイトなら、テキストや画像をご自身で変更できます。静的HTMLで作ったサイトは、変更のたびにデザイナーへの依頼が必要になる場合があります。どちらが良いかは、更新頻度と予算によって変わります。
印刷物とウェブを別々のデザイナーに依頼すると、色やフォントの微妙なズレが生じることがあります。同じ人が両方を担当することで、ブランドの一貫性が保ちやすくなります。